長く椅子に座り続けるためのポイント
今回はこのようなご質問の内容に応えていきたいと思います。
小学校に入ると、椅子に座っての活動が主になります。それも45分間座りっぱなしになります。
椅子に座り続ける事は、大人でもお尻が痛くなり、集中力が途切れやすくなりますよね。
では、なぜ座り続ける事が苦手な子どもたちがいるのか。
苦手な理由と、どうしたらよいのかをお話ししたいと思います。
そもそも「座る」ってどういうこと?
早い子で、生後6ヶ月ごろから床の上で座る事ができるようになります。
この時の座っている足は、輪っかになってますよね?これをring sittingと言います。
輪っかにする事で、自分の体を支える面(基底面[きていめん]と言います)を広く取って安定性を図っているのです。
この時期の骨盤は前に傾いて、腰の背骨を反り返らせている事が多いです。
これは、背骨側の体を伸ばす筋肉(反り返らせる動きの筋肉)を使ってます。なので、お腹の筋肉はあまり働いていません。
これが、手の支え無しで座れるようになるのは、お腹の筋肉が発達してしっかり力を入れる事ができるようになるからです。
余談ですが、体には関節をまたいで、伸ばす伸筋(しんきん)と曲げる屈筋(くっきん)が相反する働きとしてあります。
この二つを『拮抗筋』と言います。
この拮抗筋が一緒に働くことで骨盤を真っ直ぐに保ち続けたり腕を挙げ続けるという空間で保持する事ができるのです。
話を戻します。
坐骨(ざこつ)で体重支持できるようになれば長く座れるのではありません。
床ならば両足をring sittingとして用いる事、椅子座位ならふともも(大腿[だいたい]と言います)が膝裏までしっかり設置して、足裏がしっかり床について安定性が高くなります。
「座る」とは、ただ単に「座る」事ができるのではなく『どのような座り方をしているのか』に注目することが大切なのです。
人はなぜ座るのか?〇〇が出来ない子どもの理由はここにあります
「座る」姿勢は、活動するための『背景』です。
・傾聴する
・手を使って作業する
など、活動をするために『座る』のです。
私が出会う子どもたちの保護者さんや園、学校の先生からよく相談されることがあります。
それは、
・筆圧が薄いまたは、濃い
・無器用さがある
・先生の話に傾聴できない
・絵本に注目し続ける事が難しい
などなどです。
これらは、「座る姿勢」の影響で生じている場合もあります。
椅子の上で姿勢が崩れてしまうと、手を支えとして使ったり、体が倒れないようにバランスを取るために使う時に、赤ちゃんの歩き始めのバンザイの手のようになることがあります。
また、体も正面ではなく斜めになり、片手が机から落ちていることも多いです。
そうすると、このような現象が起きてしまいます!
・操作する手で体を支えながら道具を用いて、力が入りすぎてしまい、細かい動きがしにくくなる
・その結果、道具を上手く操作する事ができなくなる
他にも衝動性などの発達的な課題を持っている事もありますが、筋肉の張り(筋緊張)の柔らかさが影響している子もいます。
それにより、長く座ることがキツくて、
・足が椅子に上がる
・机に寄りかかる
などの「座り方」をする子どもたちもいます。
そして、特に家などでは、座り続ける事がキツくなり、集中力が途切れ、席を立ってしまうことにつながります。
長く楽に座る事ができる椅子ってどんなもの?
楽に長く座るということは、集中して活動に取り組めるということです!
まとめですが、ご自身の椅子や子どもさんの椅子を購入される際には、次の視点でチェックしてみてください♪
①床に足の裏が全面接地している
②座面が接地している所は、膝裏までの大腿(だいたい)全体接地している
③骨盤が起きていて背中も真っ直ぐ伸びている
④手を使う活動や頭を動かして左右を見る時、体が傾いたりお尻が滑らない
特に子どもさんの場合、上記項目の中でクリアしない項目があったらどうするか?
解決策も下記に記載させていただきます。
①に対しては、
椅子の高さ調整したり、足台などを雑誌などをガムテープぐるぐる巻いて作り使用してみてください。
②、③に対しては、
小学校低学年は、大きめの椅子を購入する事が多いため、膝裏に合わせると骨盤後ろに空間ができます。この空間があると接地面が狭くなるため、この空間は、硬めのクッションなどで埋めてあげてください。
④に対しては、
滑りやすい座面の場合は、座布団やクッションをおいたり、100均の滑り止めマットを用いるのもオススメです。
大人になるにつれ、理性が働き仕事は集中して行えますが、座り方によって肩こりや腰痛を引き起こすこともあります。
そして、子どもは、まだまだ発達段階!
環境にすごく影響されるので、楽に姿勢保持できる設定がとても大切です。