皆さん、正しい箸の持ち方を知っていますか?
こんにちは、ゆきです。
作業療法士を20年やっています。普段は重症心身障害をもつ子どもたちや、発達に課題をもつ子どもたちと接しています。
今回は子どもの箸について、色々と紹介させていただきます。
仕事で保育園や幼稚園に行くことが多いのですが、2歳児クラスからお箸を持ってくるようにされている園や、年少から必須で使用されている園があり、びっくりする事があります。
もちろん、よく分かっている園は、それぞれ子どもの発達に見合ったお箸の導入をされている園もあります。
私が担当する発達に課題がある子どもたちは、不器用な子も多いので、
「にぎり持ちになるんです」
「どのように教えたら良いのかわからなくて」
などなど、お箸の相談をよく受けます。
今回、このような悩みを解決する方法をお伝えしたいと思います。
お箸は日本の文化です。
しかし、子どもだけでなく、大人でも持ち方が特徴的な方もいますよね?
実は、私もお箸の持ち方がおかしかったのですが、どの持ち方が正しいのか知らなかったので、間違った持ち方をしているとは20歳まで知りませんでした。
20歳の時、リハの学生の時の実習で、右片麻痺の方を担当させていただきました。
その方が、左手に利き手交換する事になり、左手でも使えるお箸の自助具(じじょぐ:自分を助ける道具のこと。色々改造し片手でも作業遂行できるように工夫した道具)を作る機会をいただきました。
そこで、作った自助具を見て、指導者が
「これは、使えないよ。お箸は伸展(指を伸ばす動き)させて操作するでしょ?」
と言われ初めて気づいたのです。
私は指を曲げて操作していた事に気づかされました!
みなさんは、どのように持たれていますか?正しく箸を使えていますか?
また、お箸は何歳ごろから使い始めたら良いかご存知でしょうか?
次は子どもがいつから箸を使い始めたら良いかと紹介していきます。
子どもの箸はいつから練習させるべき?
先に少しだけ、お箸を持つ手の話をしたいと思います。
手根骨(しゅこんこつ)というのが、手指の付け根(手のひらの中心から下で、手首の上の所)に8個あります。
新生児のときには、指の骨はありますが、この手根骨はまだ無いのです!
生後3か月くらいで手根骨になる基の骨化核(こっかかく)が現れます。
年齢+1の割合で出現し、5歳の時に8個すべての骨化核が現れ、骨になるのは、12歳です。
女の子の方が一年骨の成長が早いと言われてます。
この手根骨が現れる事で、手首が安定します。
手首=手関節が安定するということは、その先にある指先が、自由に動かせ、細かな動作が構造的に可能となります。
お箸操作は、親指、人差し指、中指の動的三指(どうてきさんし)と言う、最も細かい操作が必要となります。
この三本の指が動かせるのは、残りの薬指・小指がグーのように曲がり、手のひらで卵形の空間を作ることができるようにならないと難しいのです。
ここまで言うと、お分かりでしょうか?
個人差はありますが、「お箸操作」のできる「手の構造」は、『5歳以上』にならないと無理なのです。
「早めに取り入れると良いのでは?」と導入されて、「なかなかできない(;_;)」と困っているお母さん!
一番困ってるのは実は、やりたくても上手くできない子どもなのです!
子どもは、知的欲求が強く、そこから学ぶことができるので、大人や周りが使っている道具にとても興味を示します。
その時は、全然使わせてあげて良いです!
ただ、構造的にお箸の操作が難しい『手』なので、教えないで好きに使わせてあげてください!
そして、「持ち方を教える」のは、5歳以降にしてください。
もちろん、5歳過ぎに教えても、十分上手に持てるようになります!
手先が不器用な子どもたちは、構造的に動かせる『手』になっても、操作する=運動は、どのように動かしたら良いか分からず、なかなか運動学習ができず上手くできないことが多々あります。
箸の持ち方について ※利き手交換される方も有効!
次に箸の持ち方についてお伝えいたします。
最初に持ち方の確認です。
初めて使う子ども、持ち方に癖のある方、利き手交換される方など参考にしてください。
利き手の親指、人差し指、中指を用います。お箸を一本鉛筆のように持ちます。
親指を人差し指の第一関節の所まで移動させます。
そこに、親指の付け根からもう一本差込、薬指の第一関節の所を通るようにします。
操作は、人差し指と中指で挟んだお箸を指を伸ばすことで開き、曲げる事で摘みます。親指から薬指にくるお箸は、固定され動きません!
この時手首が、手のひらの方へ曲がると、指先の動きが制限されるため、手首が手の甲の方へ曲がった状態をキープしてください!
使い始めの子どもさんが行う時には、お箸が横向きに寝るようにして、食べ物を横から摘むようにすると、より成功しやすいです!
箸の練習方法について ※利き手交換される方も有効!
〇洗濯バサミ
親指、人差し指、中指でつけ外しする。薬指、小指は、グーにすること。
○角砂糖用のトング
丸めたティッシュや紙、粘土などつまむ。
○ボール弾き
お箸一本を人差し指、中指で挟み、小指側を机に付けた状態にする。指を曲げた状態にし、お箸の先に丸めたティッシュなどのボールをおく。人差し指、中指を伸ばしそれを弾く。
サッカーのように対戦すると、楽しく遊びながら練習できます!
※こちらに関しては、写真と文章では分かりづらい部分がありますので、後日動画でアップしたいと思います。
今、様々な補助箸、矯正箸が100均にも売られています。
使用すると、誤学習するとの報告も多くあり、実際、ステップアップしづらい子どもさんにも出会ってきました。
手の構造的に難しい時期から使用するには、やはり普通のお箸の使用は難しいですよね?
なので、このようなグッズを使わなければならないだけなのです。
しかし、その子どもさんが、お箸が苦で仕方ない場合は、用いても良いと思います。
そして、遊びの中で、お箸の練習を積んでみてください。
ご飯は、まず楽しく美味しく食べることが大切です!
怒りながら、注意しながらとなると、食事自体が嫌になり食が細くなる事があります。
お箸は「楽しく、美味しく」食べるため「道具」ということを忘れずに、お箸の練習に取り組んでいただけると幸いです!
手の発達については、また今度話させてもらいますね。