こんにちは、ゆきです。
お母さんから以下のようなお話をよく聞きます。
原因が分からず、子どもが泣いているのは、お父さん、お母さんも見てて辛いですよね。
今回はこのような悩みを解決できる記事を書きました。
この記事で解説する、耳塞ぎをしてしまう原因と対応方法をしっかり理解すれば、今までどう対応すればいいか分からなかったものも、冷静に対処できるようになりますよ。
原因の1つとして考えられる『聴覚過敏』
子どもが耳塞ぎをしてしまう原因として、いろんな原因はあると思いますが、その中でも「音」に関しての反応であるならば、「聴覚過敏」の可能性が高い事が考えられます。
「聴覚過敏」とは、人よりも音をよく拾ってしまう状態で、「音=刺激」が一度に大量に耳に入ってくるために、不快に感じたり、苦痛に感じたり、「痛い」と表現する人もいます。
特に子どもは、なぜ自分が辛い思いをしているのか、原因が分からないし、どうしたらよいのか分かりません。
それでも、その辛い状態をどうにかしたくて、『耳を塞ぐ』行動をとっているのです。
では、なぜ人によって音の感じ方が違うのでしょうか?
少し専門的な話になりますが、耳の構造をまず理解しましょう。
『音』の受け取り方の違い
私たちの「耳」は、「音」を『刺激』として受け取る「受容器」です。
耳で受け取った『刺激』は、決まった『道(神経経路と言います)』を通って脳の中の聴覚情報を整理する場所(聴覚野と言います)まで運ばれます。
そこで、得られた情報(刺激)を他の情報と結びつけて、何なのか「理解する事(認知)」ができます。
耳(刺激)⇒聴覚野⇒認知
今度は理解した情報を基に、運動の命令を出す所(運動野と言います)に決まった『道』を通って情報が伝わり、そこから動かしたい「筋肉」に、また決まった「道」を通って命令が伝わり、運動が起こり、行動することができます。
認知⇒運動野⇒筋肉⇒行動
例えば、信号機が青になったとき音が鳴ります。
その「音」の『刺激』を耳が受け止め、決まった道を通って『脳の聴覚野』へ伝達されます。
そこで、過去の体験などの情報と合わせて「この音は、横断歩道の信号機青の音だ」と『認知』して、今度は、脳から渡るための運動の命令を『運動野』から出され、決まった道を通って動かしたい『筋肉』に伝わり「足を動かす=歩く」運動ができ『横断歩道を渡る』という『行動』をとる事ができます。
そして、重要なのが、『音=刺激』が耳から脳まで伝わる間で、私たちは『フィルター』をかけていることです。
『フィルター』とは、聞きたい音だけ拾って、意識することができ、他の音(雑音)は、頭に入ってこないように脳で処理をすることです。
なので、私たちは、賑やかな遊園地などでも、離れて歩いている我が子の声は、聞き分ける事ができます。
でも、聴覚過敏を持つ子どもたちは、この『フィルター』機能がうまく働かないため、人よりも多く音を拾ってしまい、不快に思ったり、苦痛に感じてしまうのです。
聴覚過敏を持つ子どもの生活
次に、この「聴覚過敏」を持つ子どもの生活のひと場面を考えてみます。
この環境の教室では、どんな音が聞こえてくるでしょうか?
・隣の教室の歌声や笛の音色
・セミの鳴き声
・道路を走る車の音やクラクション、時には救急車やパトカーのサイレン
・先生の書くチョークの音
・クラスの子の椅子を引く音
など、いろいろな音がありますよね?
このような環境は、ごく普通にある環境です。
クラスメイトの大半は、特に問題なく勉強していると思います。
それは先程お話した、フィルターがかけられ、必要な音をより強調して伝えることができ、他の音は意識していないからです。
なので、この場合は、担任の先生の話が「必要な音」で、他の音が「脳へ伝わらない音」です。
しかし、「聴覚過敏」のある子どもは、担任の先生の話に集中しようとしても、フィルターがうまく機能しないため、一斉に同じ大音量で全ての音を拾ってしまうので、他の音が入りすぎ
「セミがうるさい!耳が痛い」
「隣のクラスの笛の音が嫌だー!」
などと、頭の中が大渋滞を起こしてしまい、先生の話を聞くどころではなくなって、苦痛な時間が過ぎるのを待っているだけの状態になってしまいます。
ここで、下記に聴覚過敏の聞こえ方が分かりやすい動画を見つけたので、ご紹介させてもらいます。
耳塞ぎをしてしまう子どもの対応方法
では、子どもたちが、楽しく楽に生活を送ったり、行事に参加するための対応方法を3つ紹介させていただきます。
2.雑音を遮る道具の使用
3.先生などに子どもの特性を理解してもらう
1つずつ見ていきましょう!
1.原因の音を取り除く
まずは、原因の音を取り除くことです。
例えば、掃除機が苦手な子どもさんがいるご家庭では、子どもさんが園や学校へ行っていない間に掃除機をかけてしまう。
もし、いる時に掃除機をかけるのであれば、
「今から掃除機かけるから、隣の部屋で待ってて。終わったら呼びに来るから」
「掃除機を30秒だけかけるから30数えてね」
「時計の針がここまでに終わらせるから頑張ってね」
など、掃除機を使う見通しをもたせること、終わりの時間を教えることで、「聞こえなくなる終わりがある事」を伝え、安心させてから行うと、苦手な掃除機の音も少しずつ受け入れられるようになってきます。
2.雑音を遮る道具の使用
次に、雑音を遮る(さえぎる)道具の使用です。
以下のようなもので、種類も様々あります。
・耳栓
・ノイズキャンセルヘッドホン
・電子イヤホン
これらは、全く聞こえなくなるのではなく、周囲の雑音を遮断したり、音全体を小さくしてくれるため、不快感が軽減もしくは、全く無くなり、装着していたら行事の参加ができることが増えます。
おすすめの商品も子供用、大人用とそれぞれピックアップしておきます。
3.先生などに子どもの特性を理解してもらう
最後の対応方法としては、子どもさんの生活する環境が園や学校であれば、先生に子どもさんの特性をぜひ話してください。
先生に理解していただけると、以下の内容などを配慮してもらえます。
・夏は窓を閉めてエアコンを入れてくれる
・座る席を変えてくれる
・楽器演奏会や避難訓練がある時には事前に告知してもらえる
・子どもさんの様子に合わせて、音の聞こえない部屋で過ごさせてくれる
など。
耳塞ぎについてのまとめ
今回は『耳塞ぎ』についての記事を書かせていただきました。
「聴覚過敏」に限らず、『過敏』とは、脳の機能的な働きの個人差によるものです。
なので、一生上手に付き合っていく事になります。
でも、「過敏」を持つ方は、自分自身の受け止め方がみんなと違うことを知りません。
当事者の方の著者の中で、
「みんななんて我慢強いんだろう。」
「よくこんなうるさい中で過ごせるなあ。」
と思っていたと書かれていました。
“自分の特性が他の人と違う”ということを早くに知ることで、また、周りに理解してもらえることで、少しでも楽に心地よい生活を送ることができると思うと、早めに環境を整えてあげたいですよね。
補足ですが、原因となる『聴覚過敏』を持つ子どもさんは、耳塞ぎしなくても、音が入りすぎて集中できていない事が多くあります。
活動の用途に応じて、お部屋の環境をつくると、子どもさんのパフォーマンスは、グーンと伸びますよ♪
動画でも紹介させていただいております。
ぜひ参考にしてみてください。
「掃除機をかけると泣き叫んで耳を押さえるんです。」
「サイレン(救急車や消防車、パトカー、お昼を教えるサイレン)を聞くととても怖がって泣いて、ずっと耳を塞ぐんです。」
「保育参観や行事では、いつも両手で耳を塞いで大泣きして部屋に入れないんです。」
「音楽会の練習が始まったんですが、大泣きしながら耳をずっと塞いで部屋に入れないらしいんです。」
「駅に行くと耳が痛いって言うんです。」 等々。