指しゃぶりや玩具なめは、とても重要なんです!
運動や手先が不器用な子どもたちの遊びや道具操作の様子を分析すると、「あれ?」と思う時があります。
そして、お母さんに「指しゃぶりしてましたか?」と尋ねると
という返答が必ずと言っていいほど返ってきます。
そして、その大半の子どもたちは、這い這いせずにつかまり立ちを直ぐにはじめていることがほとんどです。
指しゃぶりって聞くと、
「きたないからさせたくない」
「口や指が荒れるからさせたくない」
「歯並びが気になるからさせたくない!」
という事を聞くことがあります。
気になる人にはとっても気になりますよねー。
では、そんなお母さんでも
「指しゃぶり、じゃんじゃんしなさい♪」
と思えるように、子どもの発達にとって「指しゃぶり」が大切なことをお伝えしたいと思います!
指しゃぶりはいつから始めるの?
指しゃぶりは、お腹の中にいる時に始まります。
妊娠24週目ごろには口に入れ吸う動作ができるようになってます。
エコー写真で写ってるのを見た方もいるかもしれませんね!
これは、吸啜反射(きゅうてつはんしゃ)という原始反射で、お口に指が当たると加えて吸う動作を言います。
指しゃぶりをして羊水を飲み生まれた際に母乳を飲むための練習をこの時期からしているのです。
産まれてからの新生児の間は、指しゃぶりをすることは少ないです。
これも様々な原始反射の影響でお口まで手が届かないのです。
だいたい2〜3ヶ月ごろになると、原始反射も消失し始め、ほとんどの赤ちゃんが口まで手を持ってくる事ができるようになり、こぶし舐めから複数の指がお口に入り指しゃぶりができるようになります。
では、なぜ指しゃぶりが大切なのか?
始めは母乳を飲む練習として原始反射で行なっていた指しゃぶり。
それが、脳が発達して原始反射が消えてきて自分の意思で舌を動かす事ができるようになります。
でも、まだまだ前後の動きしか出せません。
下顎もまだまだ不安定でちょうどよい大きさにお口を開ける事ができず最大限お口を開けます。
この時、指しゃぶりする事で下顎が安定性が促され、下顎が安定するので、舌が動きやすくなります。
そして、「指先・舌・下唇」には、触る感覚を受け止めるセンサー(触覚の受容器)が沢山あります。
指しゃぶりや玩具なめをする事で自分の指の形や大きさ、指動き、おもちゃの触感を学習します。
産まれたばかりの赤ちゃんは、グー、パーと全部の指が一緒に動きます。
始めはこぶししゃぶりからですが、小さい口に入れようと手指がバラバラな動きをして、数本になり、一本になります。
これは、手指の分離運動の始まりです。同じことが舌でも言えます。
前後にしか動かなかった舌が指や玩具をしゃぶろうとし、上下に動くようになり、左右に動くようになってきます。
舌は全て筋肉です。
その動きで筋肉も付き、いろいろな動きができることは言葉を作るための基礎にもなります。
そして、触覚も、いろいろな触感を経験する事で、「食べ物」という今まで口にしたことのなかった様々な食感の物を受け止める練習になるのです。
粗大運動の発達については、またの機会にさせてもらいますが、巧緻操作(こうちそうさ)については、お口の中の動きは指も舌も見えませんよね?
手指も舌もとても高度な巧緻操作です。
この触覚の情報を用いる経験から、手元を見なくても適度な力で物を操作することができ、書字やハサミ操作お箸操作など道具も上手に使えるようになるのです。
指しゃぶりや玩具なめは、この土台になるのです。
また、指しゃぶりや玩具なめは情緒を安定させる作用もあります。
産まれてからたくさんの刺激を受けて成長する中で、刺激を受けすぎストレスになる事もあります。
お母さんの抱っこで授乳する時間は、赤ちゃんにとって一番安心でき心地よい至福の時間です。
この精神的に一番落ち着いている環境に類似する指しゃぶりは、赤ちゃんにとってストレスのコーピング作用(=自分のストレスに対して行う意図的な対処のこと)の意味があります。
情緒の安定性を図るためにも、しっかり指しゃぶりさせてあげてくださいね!
指しゃぶりと歯並びの関係性
ちなみに、指しゃぶりは、3歳までになくなれば、歯並びに影響しないと言われています。
なので、「おっ!自主練してるねー♪」と思って今のうちにたっぷりさせてあげてください!
歯並びは、体の筋肉の緊張(力を抜いた時の筋肉の張り具合)や舌筋の発達、そして姿勢がとても影響します。詳細につきましては、また後日書かせていただきますね。
指しゃぶりを経験していない子(止めさせたい子)はどうしたらいいの?
では、指しゃぶりさせず、その時期が終わった子どもさんや、3歳すぎても指しゃぶりする子どもさんはどうしたらよいのか?
それは、どちらも、しっかり両手を使う触覚遊びでたくさん遊んでください!
・触覚遊び
・砂や粘土遊び
・糊を使った工作
・親子クッキングでクッキーやおにぎり、ハンバーグなどをつくる
のもよいですよ。
触覚に過敏があり、触りたくない子どもさんには、まず楽しめる物、受け入れられるように道具を使って直接触らなくてもできる環境から、受け入れられる所から直接触る経験を積むとよいです。
しっかり指をバラバラに使って遊べるようになると、指しゃぶりよりも様々な道具や玩具で遊べるようになり、指しゃぶりよりも楽しくなり卒業に近づけますよ!